田中芳樹「七都市物語」

七都市物語 (ハヤカワ文庫JA)

七都市物語 (ハヤカワ文庫JA)

新たなジャンル開拓、などと言っておきながら、あまり開拓できてなかったり。星界シリーズからの流れで早川書房の本を漁ってみたところ、とりあえず取っつきやすそうな著者の本が見つかったので査収。

内容は「地上限定の銀英伝」…などと単純化しすぎると、ファンから大目玉食らいそうではあるが、10字以内で説明しようとそうなる。兵士を気軽に戦地に送り込んでおいて自らは安全な場所で利権漁りに余念がない悪徳政治屋とか、優秀ではあるけれど大層口の悪い高級将校とか、キャラ的に既視感が。田中芳樹ステレオタイプ。まあ銀英伝はあれだけ人数がいるから、そりゃカブるのも無理はない。いや別にけなしてるわけじゃないすよ。こっちはこっちで楽しめたし。

ただ、問題は…。3/4くらい読んだあたりでなんか嫌な予感はしてたのだが。もしかして、この物語、未完? いや一応終わったと言えば終わったと言えなくもないのだが、どうも「俺たちの戦いはこれからだ!!」というジャンプ打ち切りマンガ的な印象が拭えない。15年前に出版されてその後音沙汰無しなら、これはもう放置プレイなんだろうな。