「末は博士も就職難」、修了者の25%が「浪人」

YOMIURI ONLINE
最近の当サイトは絶賛放置中だったので、ちょっと更新頻度上げていこか。

さて、この手のネタについては実体験に基づいて何か気の利いた事でも書くべきなのだろうが、実際のところ(リンク先記事で出てくる人々に比べると)あまり大した経験でもないという気も。

  • 博士号取得後、研究生(半年)
  • 自分とこの研究室で(任期付き)研究員(半年)
  • またも研究生に戻り(半年弱)
  • 今度は自分とこの研究室の隣の研究室から声がかかって(任期付き)研究員(2年) → (8/4追記)間違えた。1年半だ。
  • その間あちこちの研究職に応募してみたが箸にも棒にもかからず、さすがにこれはもう先はないだろうということで、ググって見つけた(笑)IT関連企業に就職
修了後、現職につくまで3年あまりを費やしたわけだが、その間それほど経済的にダメージがなかった(むしろ貯金ができた)のは、ひとえにろくな努力もせずにありついた任期付き研究員職のおかげ。そういう意味ではかなり恵まれていた方と言える。基本的に他力本願なので、あまり偉そうなことは言えない状況。最後の現職に就くところはコネも何も全く無しだったので、そこだけは誰に後ろ指をさされる心配もないのだが。
就職先を見つけるためには…とにかくググれ(笑)。「理学 博士 求人」かなんかの割と大雑把なキーワードで検索すると、結果が10,000件オーダになるので、そこからさらに絞り込み検索をせずに、頭からひたすら調べるべし。うかつに詳細キーワードで絞り込むと思わぬ求人を見逃すことになりかねないので、手間を惜しむべからず。下手な鉄砲も何とやら。…とは言え、最近はポスドク向けの就職情報サイトなどがそれなりに充実しているようなので、そういうのに頼った方がいいか。
他に、ちょっとしたコツとしては、一度でも任期付き研究員をやっていたなら新卒でなくて中途採用枠に応募してみるのも手かね。棚ぼたで転がり込んできたポストとは言っても、一応「職歴」だし。ずっと研究生で、バイトで食いつないでいるようだと使えない手だが。

正直なところ、現状でアカデミックなポスト(しかもパーマネント)は、よっぽど優秀・強力なコネ・研究に対する飽くなき探求心が揃ってないと難しいんではないかね。ええもう、私全て揃ってませんでした。特に最後が(笑)。博士課程修了直後の自分に「お前ホントに研究職つく気あんの?」などと問い詰めたい気分である。いやあ、学位取ったら探求心がぶっつり切れたね。そりゃもう見事なほどに。

で、となると、あとは非研究職を探すしかないわけだが、リンク先記事にもある、

院生自身が自分の能力に気づいていないケースもある。順天堂大学大学院の博士課程でスポーツ社会学を専攻した市川朋香さん(28)は当初、就職試験に落ちまくった。Jリーグが研究テーマだったため、サッカーチームの運営会社やマスコミを受験。面接では決まって研究成果を“発表”したが、採用担当者の反応は今ひとつだった。
市川さんは、林さんの会社でアドバイスを受けて目覚めたという。「研究を通して、自分には分析力、論理力、発表力が身についているのではないか」と。自己の適性に気づき、IT関連のデータ解析会社を受けた市川さんは、すんなり合格。この春から新入社員として元気に働いている。
ここら辺の記述は激しく同意。大学時代の研究そのものでなく、研究上のノウハウ(私の場合だと、数値データの解析手法とか、物理現象の数値シミュレーション技法とか、その辺)を元に、なるべく自分を高く売れる職種に(ここ大事)持っていくのがいいのでは。研究「内容」より研究「手法」ね。

それと、就職してから気づいたのだが、博士課程の生活を経験していると、「他人に自分の考えを伝えるための論理的な文章の書き方/プレゼンの仕方」が結構身につくようだ。…というか、私よりよほど職歴が長いのに、この辺のスキルがなっちょらん人が周りにちらほらと。立場上、自分でソフトウェアの設計書を書くだけでなく、他人の書いた設計書のレビューもしなきゃならんのだが、設計思想うんぬん以前の問題として文章が何言いたいんだかさっぱりわからん場合が少なからずあるので、チェックを入れる赤ペンの減りが早すぎて困る。研究生時代にやっていた予備校の小論文添削バイトを彷彿とさせる赤ペン先生っぷり。いや私、赤ペンにはこだわりがあって会社の備品じゃ満足できないので、東急ハンズまでわざわざ調達しに行くのが結構面倒なんだが。しかも自腹。ちなみにゼブラのSARASA・0.4mm径である。閑話休題
あとは、ソフトウェアの試験工程で、例えばある処理の実装が正当か確認する場面で、どのパラメータをどう変えて動かしてみればわかるか、などということがよくわかってない人とか。「○○の機能を調べるのに××のパラメータ変えても意味ないだろ」とか、「△△の効果を調べるのに□□のパラメータをいじったら、△△と☆☆の両方の効果が出てくるから出力結果だけでは判別不能だろ」とか。この辺のニュアンスって、実験系の研究をやってたりすると身に付きそうなもののような気がするのだが、わからんかなあ。そんだけ業務歴重ねてるくせに。これだからバブルは(←「これだからゆとりは」とほぼ同義)。就職氷河期なめんな。

…って、なんか世代間のやっかみみたいな話になってきた。もっとも、私はモラトリアム長過ぎな人間なので、あまり就職氷河期のイメージはないが。ともかく、がんばれポスドクオーバードクターの皆々様。あなた方のモラトリアムの経験は、同じ期間の新卒の職歴と比べてもそれほど遜色はないぞ。いやむしろ勝てる。