機本伸司「神様のパズル」

神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)

…表紙のイラストで購入を判断するのはやめよう俺。ラノベでもなし。

読む本のストック切れにつき、その場のインスピレーションで買ってみたが、読んでみたらバリバリの理系好みな小説で結果オーライ。「宇宙の作り方」というネタを題材に話が進んでいくのが、なんかもう色々とマニアックすぎだ。宇宙を人間の手で作り出せるか否か、ということで二手に分かれてディベートするあたりなんかもう。いや一応私も物理系研究科修了ではあるが、どっちかというと古典物理がメインで、宇宙論のような現代物理は正直なところよくわかってないので、実のところ途中から内容が理解できなくなってはいたのだが。量子力学の井戸型ポテンシャルで理解が止まってるような人間には宇宙論はかなり荷が重いか。

ところで、帯にも書いてあるようにこの作品は映画化決定らしいのだが、これ実写なのか? うまく映像化しないと、非常に嘘っぽく見えるような気が。大学の研究室がメインの舞台なので、年齢的に若い人が多くなるだろうが、イトカワの内部みたいなスカスカ頭のジャリタレ(ものすごく失敬)の大根な演技であのディベートのシーンを映像化して欲しくないなあ。ここはひとつ、実写じゃなくアニメということにして、演技力が達者な声優陣を揃える、ということでどうか。もちろん俳優の○○が声優初挑戦、とかいう今どきありがちなキャスティング手法は不可。

それと、加速器施設の描写って、施設としてはかなり大規模なものなので、そういう面ではインパクトがありそうだが、実際のところクライマックスの粒子加速しているシーンってモニタを見るぐらいしか描写のしようがないような気がするので、クライマックスシーンあたりは映像的に非常に地味になる気がするんだが。…やっぱアニメだな。ここはひとつ、ガイナックスあたりに制作してもらってですな、モニタに張り付いたオペレータさん達にいちいち状況を絶叫調で報告してもらいたいわけですよ。「パターン青、使徒です!!」みたいなノリで(笑)。