有栖川有栖「スイス時計の謎」

スイス時計の謎 (講談社文庫)

いくら犯人候補の面々が切れ者だからといって、「皆さんの中に犯人がいるということは、犯人は非常に頭脳明晰で合理的なふるまいが取れる人物だ、ということになる。その前提で推理を続けます」というのはOKなのか。ぶっちゃけた話、物証ないよねこの推理だと。いや確かに、その犯人候補まで絞り込むところまで問題なければ、あとはその合理性でもってさらに絞り込むことができると言われると返す言葉もないのだが。確かにこの辺は著者自身も細心の注意を払って書いていることがあとがきにもうかがえるんだけど、どうも納得いかんなあ。…あまり推理小説を読みながら自分で推理するタイプの人間ではないからかもしれんが。