森博嗣「四季 春」

四季 春 (講談社文庫)

四季 春 (講談社文庫)

文庫版新刊ラッシュ+未読作品発見につきストックが結構たまったため、以後しばらく森博嗣祭り開催。

S&Mシリーズにおける影の主人公(か?)・真賀田四季の幼少時代の物語。幼少時代なんだが、思考とか口調とか、S&Mシリーズ時点での描写とほとんど変わってないような気が。帯の煽り文句にあるように、「幼くして発現する、真の天才」ということなんだろうが、いちいち頭の中で「この人は子供」と確認しないと幼少時代の話だということを忘れそうになるのでなかなか難儀であった。それと、「僕」の一人称語りで進むのをあまり深く考えずに読んでいたので、途中ですっかり騙された、というか訳がわからなくなった。おかげで確認のためにもう一度読み直すハメに。やられた。

S&Mシリーズのみならず、その後で出版されたVシリーズも含めて、主要キャラクターが入れ替わり立ち替わり登場するのは、サイドストーリーとしてのツボを押さえていて大変良い。ていうか、この人のことだから、デビュー作を書いた時点でここまでのプロットを綿密に立ててたんじゃあるまいか。そのくらいのことはやりかねん。