森博嗣「四季 夏」

四季 夏 (講談社文庫)

四季 夏 (講談社文庫)

四季、十三歳。あの夏、あの島で何が起こったのか──。

…などと帯で謎かけしてるが、「すべてがFになる」を読んでいれば何が起こったのかは既にネタばれな状態であり、そこに至るまでの経過、というか四季がその事件を起こすに至るまでの心理描写を楽しむのが本作のあり方か。割と淡々と話が進んでいくように思えたが、それによって却って最後の事件に収斂するまでの道筋がクリアになっている。

次作「秋」はどうやら「すべてがFになる」「有限と微小のパン」の後の話のようなのだが、正直なところこの辺の話の内容がだいぶ記憶から薄れているので、これらを再読してからの方がより楽しめるかもしれん。