東野圭吾「ゲームの名は誘拐」

ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)

ゲームの名は誘拐 (光文社文庫)

裏表紙の説明で、インターネットを駆使した誘拐がうんたらかんたら、というのを目にしたとき、真っ先に思い浮かべたのが岡嶋二人の「99%の誘拐」という作品。これもコンピュータを駆使して身代金を奪取するという内容で、その駆使の仕方がかなりマニアックで、というか身も蓋もないことを言うと策を弄しすぎと思わないでもなかったが、まあよくぞここまでトリックを思いつくもんだと感心したものである。ただ、この作品、結構古いもの(1988年)なので、当然ネットワーク環境は現在と比べるべくもなく、音響カプラーなどという何やら懐かしすぎなアイテムが出てくるし。懐かしすぎ、というか、実際に使ったことなんてないですが。

で、あの作品の現代版みたいなものかいな、と思って読んでみたのだが、確かにインターネットを駆使はしてるんだけど、「99%〜」で感じられたようなマニアックさは欠片も感じられませんな。主人公も、かたや電子機器メーカーの技術者、こなた広告会社のプランナーで、なにやらオサレ感(笑)が漂っております。これは、インターネットというのがもはやマニアだけのものではない、ということから来ているのか、それとも単に東野圭吾岡嶋二人(もしくはソロデビュー後の井上夢人)の作風の違いのせいなのか。まあ確かに岡嶋(井上)作品は何かとマニアックだからな。いやなんとなく。

この作品、全部読み終わって解説を読むまで全く気づかなかったのだが、「g@me」の原作だったのか。確かに言われてみればそんな感じのCMを見た覚えが。ん〜、樹理が仲間由紀恵か。…、…、…、なんか微妙だ。ちょっとイメージが違った。まあそのうちTVで放送したら見てみましょうかね。