太陽系惑星:新たに3個 国際天文学連合が定義案公表

以前に書いたエントリでは、新発見の天体を惑星認定するだの、これを認定しないなら冥王星も惑星の地位から陥落、という程度の話だったが、このニュースだと何やら惑星候補がいきなり増殖してセレスとカロンまでもが。そしてさらに別の12天体も? これはかなり予想外の展開。

セレスは、うまくいけばひとまとまりになって一定の大きさの惑星になっていたかもしれなかった小惑星帯所属の天体群代表であり、小惑星帯自体がボーデの法則にほぼ適合する位置にあることもあり、惑星入りするのはまあわからんでもないが、カロンまでも加わってくるとなると何が何やら。これが通ると、今までに例のない、「太陽を焦点とする楕円軌道」でない公転軌道を持つ惑星誕生となるわけで、「惑星」という言葉の定義付けが前にもまして難しくなることは確実。新定義では「恒星の周りを回り、自らの重力で球状となる、恒星でも衛星でもない天体」ということになったようだが。とりあえず「衛星」の定義も一緒にしないと意味ないんでないのん、というツッコミはおいといて、これまでの常識からすると、

  1. 太陽を焦点とする楕円軌道 → カロンが例外
  2. 大きさ → 月や木星ガリレオ衛星など、セレスよりも大きい天体は存在する。これらは今まで公転軌道の観点で除外されてきたのだと思うが、そうすると項目1に矛盾
  3. ボーデの法則 → 海王星が例外(?)
  4. 公転面の傾き → 冥王星カロンが大幅にずれる
などという定義上の例外が頻発する。

ここはひとつ、「惑星」という言葉の定義を、単なる研究者間の政治的力学の結果、以外の理由で論理的に整合性をつけられるかどうか、生暖かい目で見守るとしましょうかね。


[8/17追記]

その後色々記事を漁ってみたが、上で列挙した例外項目1は、母天体とその周りを回る天体の質量比で線引きするみたいだな。そもそも「惑星の周りをさらに回る天体が存在する」という時点で、正確にはその惑星の軌道は「太陽を焦点とする楕円軌道」とはならんわけだし。惑星とその周りを回る天体の重心の描く軌跡が、太陽を焦点とする楕円軌道となる、とかそんな感じ? …まあ、これもそもそもは、月より小さい冥王星を惑星と定義してしまったことによる苦肉の策、という気がしなくもなく。この条件からすると、冥王星を二軍落ちさせるという解はそもそも存在しないんだろう。

それと、「自らの重力で球状となる」という条件は、恐らく小惑星帯その他の小天体をふるいにかける条件ではないかと推定できるかな。一定の大きさの母天体がない小惑星帯で、単純に天体の大きさだけで線引きしようとするとなかなか難しいってことなんだろう。

産経新聞の記事によると、水星から海王星を「古典的惑星」とし、冥王星以遠、セレスはそれぞれ別系統惑星扱い、ということらしいので、定義上は完全に旧来の惑星と対等扱い、というわけでもない模様。ちょっと前に話題になった、常任理事国と準常任理事国(拒否権なし)の関係、みたいなもん?